●もちこまず、もち出さない、自然栽培による無農薬・無肥料・天日干し

私たち吉田自然農園では、岡山県久米南町の5年以上、農薬や肥料を使っていない棚田で、自然のリズムに合わせて、自然栽培で作物を育てています。小麦は、お米を収穫したあとの田んぼの裏作として、冬〜夏にかけて育てています。

●自然農で育てた、力強い、生命力の高い種もみを使用

小麦は、10月の下旬から12月第1週までが、種まきの適期。自然栽培で何年にもわたってつないできた、生命力の高い種もみを使って、お米の裏作として、畝に直播き。播種したあとは、土が乾かないように、鳥に種が食べられないように、霜が土や種に直接降りないように、刈り取った草をその場にかぶせます。

●小麦の力を信じて、自然にまかせて生育を見まもる

種まきを終えると、12月下旬までに小麦は緑の葉が芽吹き、冬の間、雪にも北風にも負けずに、少しずつ少しずつゆっくりと育ち、暖かくなり始めると、一気に成長を加速させます。一般的な栽培では、成長を助けるために農薬や肥料をつかいますが、植物の力を信じて無農薬・無肥料で生育を見まもります。

●夏を迎えると、小麦は一気に成長します

春を迎えると小麦は一気に成長します。あっという間に背が高くなり、穂が出始め、ゴールデンウィークをすぎ夏が近づいてくると、小麦は徐々に色づきます。6月10日前後に完熟して、収穫の適期をむかえます。小麦は、早い時期に種まきしても、遅くなっても、穂が熟すのが同じ時期になるのでとても不思議です。熟した小麦は、梅雨が始まる前の晴れた日に刈り取り、穂木で天日干しし乾燥させます。

●6月10日前後、完熟した小麦を適期に収穫

完熟し始めるとスズメたちがやってきて小麦をついばみだします。収穫はスズメたちとの競争です。小麦は、早い時期に種まきしても、遅くなっても、穂が熟すのが同じ時期になるのでとても不思議です。熟した小麦は、梅雨が始まる前の晴れた日に刈り取り、穂木で天日干しし乾燥させます。

●玄麦の状態で天日干しし、乾燥のむらをなくす

天日干しが終わったら、小麦の脱穀。脱穀機をつかって、穂から玄麦を落としたあと、さらに玄麦の状態でシートの上に広げて、梅雨の晴れ間に天日干し乾燥させます。穂木による天日干しだけだと乾き具合にむらが出るため、全体をしっかり乾燥させます。

●最高の小麦粉をめざして、たどりついた製粉所さん

せっかく、無農薬・無肥料の自然栽培で、丹精こめて育てた小麦粉も、製粉に手を抜いてしまったら意味がありません。吉田自然農園では、小麦粉の味を左右するといわれる、製粉にも徹底的にこだわりました。最高の製粉所さんを探してたどりついたのが、津山市にある福田製粉所さんでした。

●前処理で3段階の工程を行なう、丁寧な製粉

そのこだわりようは半端ではなくて、全部で6段階の工程をへないと小麦粉は完成しません。まずは、小麦粉に挽く前段階として3つの作業を行ないます。よい小麦粉をつくるには、実は、この前処理がたいへん重要になるのです。

●玄麦を粗挽き加工することで、製粉しやすく

前処理を終えた小麦は、そのまますぐに製粉するのではなく、粉に挽きやすくするために粗挽き処理を施します。コーヒー豆を挽くようなガリガリ…という音とともに玄麦が姿を変えて機械からでてきます。粗挽きすることで製粉時の発熱もおさえることができます。

●漆塗りの絹のふるいで、小麦粉をていねいにふるう

いよいよ製粉。製粉は熱を発しないように、ゆっくりと何度も何度も、何時間をかけて、やさしく丁寧に行ないます。挽いた粉は、絹糸に漆コーティングが施された240メッシュの篩(ふるい)で、なめらかな小麦粉にふるい分けられます。この漆塗りの絹の篩は、ほとんど現存しない超貴重な文化遺産のような逸品です。

●手仕事によるふるいがけで、小麦粉のむらをなくし最終仕上げ

これで完成ではなく、最後に、手作業と目視によるふるいを行ないます。小麦は機械で挽いたままだと、玄麦の外側から中心へと粉にしていくので、そのままだと外→内という小麦粉の層ができてしまいます。仕上げに手仕事による150メッシュの絹のふるいをかけることで、小麦粉のむらをなくし、虫などの混入を防ぐことができるのです。このようにして、丹精こめた丁寧な工程をへて、吉田自然農園の小麦粉は生まれているのです。


*細心の注意を行なって製粉をしていますが、ごく稀に虫やごみが混入する場合がございます。一度ふるいをかけてから調理されるようお願いします。